2024.05.02
家づくりの際に行う地鎮祭とはどういうもの? 服装など事前に知っておくべきこと
マイホームを建てるときは、工事の無事の完了やその土地で末永く安心・安全に暮らせることを祈りたいものです。日本の神道などでは、その土地を守護してくれる「氏神様」がいるとされており、古くから人々の暮らしと安全を守ってきました。
今回は、地主神に安全を祈願する儀式である「地鎮祭」について解説します。これからマイホームの建築を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
注文住宅を建てるまでの流れについての詳細は下記の記事をご覧ください。
⇒「家を建てる! と決めたらまず何をすべき? 注文住宅を建てるまでの流れを確認」
地鎮祭ってどんな儀式?
地鎮祭とは、建築前にその土地の地主神を祀り、工事の無事な進行と土地・建物の末永い安全を祈願する儀式です。日本では全国に定着している伝統的な儀式ですが、地鎮祭をやらなければいけないという決まりはありません。地域の風習にもよるので、環境や状況に合わせて判断しましょう。
地鎮祭の準備
ここでは、地鎮祭の準備について解説します。施工会社や神社が準備を手伝ってくれるケースもあるので、事前に建築主がやるべきことを相談しておきましょう。
●地鎮祭の前にやるべきこと
工事開始の1ヶ月前には施工会社と相談して地鎮祭の日時を決め、神社の予約を取りましょう。吉日とされている大安や友引、先勝の午前、先負の午後がおすすめです。
また、地鎮祭の1週間前までには参列者の人数を確定し、神社に連絡する必要があります。参列者は、建築主・工事関係者・設計者などが一般的です。親族などに同席してもらいたい場合は、遅滞なく人数を確定できるように連絡を取りましょう。
●地鎮祭の費用
地鎮祭の一般的な費用は、下記のとおりです。これらは目安ですので、施工会社や神社に確認してみてください。
・初穂料(玉串料):3万円程度(のし袋に入れる)
・神主の車代:1万円程度
・祭壇等の準備費(施工会社への支払い):5万円程度
・近所挨拶用の粗品代:1万円程度(1軒500〜1,000円程度)
・お供え物代:5,000円程度
●お供え物
地鎮祭の一般的なお供え物は以下のとおりです。お供え物は建築主が用意するケースが多いため、神社に必要なものを確認してしっかり用意しましょう。
・米:一合程度
・塩:一合程度
・水:200〜500ml程度
・酒:のし付き、一升瓶1本もしくは2本箱が主流。
・海の幸(魚):鯛、代わりにスルメなど
・海の幸(乾燥):スルメ、昆布、のりなど
・野の幸(野菜):大根、ニンジン、ナス、トマトなどから3種類
※「地面の上にできる野菜」と「地面の下にできる野菜」をそれぞれ用意する。
・山の幸(果物):バナナ、リンゴ、みかん、イチゴなどから3種類
●近隣の挨拶まわりで渡す粗品
工事中は騒音や振動が発生する可能性があるため、地鎮祭後に近隣の挨拶まわりを行うケースもあります。その際は、タオルやお菓子などの粗品を用意するのが一般的です。500〜1,000円程度で、相手が気兼ねなく受け取れるものを選ぶとよいでしょう。
●服装
地鎮祭の服装に決まりはありません。企業の建設工事ではスーツなどのフォーマルなスタイルが一般的ですが、戸建て住宅の場合は建築主がカジュアルな服装で参加するケースも増えています。もちろん神主は正装なので清潔感のある服装を意識し、身だしなみは整えましょう。
地鎮祭の流れ
次に、地鎮祭の流れについて解説します。普段はあまり参加することのない神聖な儀式なので、当日は緊張してしまうかもしれません。儀式中は神主がその都度やるべきことを教えてくれるため、安心して臨みましょう。
●大まかな流れ
地鎮祭の式典自体の時間は30分程度で、それに加えて祭壇の設置や撤去に時間がかかります。式典は「祓いの行事」「起工の行事」「供物の行事」という3つの大きな流れで進められます。地域や神社によって違いはありますが、以下のような祭儀が一般的です。
・祓いの行事
建築現場の敷地を祓い清める行事です。祭場の四方を大麻(おおぬさ)で祓い、半紙と麻でつくった切麻(きりぬさ)を撒く「四方祓(しほうはらい)の儀」を行います。
・起工の行事
建築主と施工者が忌鎌・忌鍬・忌鋤などを持ち、草を刈ったり地を穿ったりする所作を行います。これらは、「刈初(かりぞめ)の儀」「穿初(うがちぞめ)の儀」とされ、神様に工事の開始を奉告する祭儀です。
・供物の行事
「鎮物(しずめもの)埋納の儀」として鎮物の品を捧げます。これにより神霊を鎮め、工事と生活の安全を祈念します。
・当日の注意点
当日の準備を施工会社が行ってくれる場合は地鎮祭が始まるまでに到着すれば問題ありませんが、関係者に挨拶ができるくらいの余裕を持って動くとよいでしょう。また、地鎮祭後に近隣挨拶を行う場合は、よい関係を築けるようにていねいに接することが大切です。
地鎮祭はマイホームの成功を祈願する大切な儀式
地鎮祭は、建築工事に着手する前に土地の神様に敬意を払い、工事と暮らしの安全を祈願する日本伝統の儀式です。このほかにも、柱や梁を組み上げたときにそれまでの工事に感謝し、その先の安全を祈願する「上棟式」や、工事完了後に今後の繁栄を祈願する「竣工式」があります。「地鎮祭」「上棟式」「竣工式」は、建築の三大祭式と呼ばれています。
上棟式・棟上げについての詳細は下記の記事をご覧ください。
⇒「上棟式・棟上げとは何をするもの? 大工さんへのお礼としてご祝儀や手土産は必要?」
三大祭式はいずれも必須ではありませんが、マイホームの成功のために挙行してみてはいかがでしょうか。家族のよい思い出になるかもしれません。