2023.11.01
ファサードとは?おしゃれな第一印象を演出する壁のデザイン
建物の印象はファサードのデザインに大きく影響されます。本記事ではファサードの概要やメリット、上手な計画のポイントについてご紹介します。ファサードにこだわることで、おしゃれな建物を実現しましょう。
ファサードとは
ファサードとは、建物正面の外観のことです。建物の顔とも言える重要な部分であり、都市空間ではランドマークとしても機能します。ファサードの語源はフランス語の「façade」で、ヨーロッパでは都市景観の考え方から重視されています。
ファサードを構成する主な要素は、屋根、窓、外壁、照明器具です。それぞれの組み合わせ方は、時代背景に合わせて変化しています。古い時代には豪華で複雑なデザインが多く見られましたが、最近はモダンでシンプルな形状が主流となっています。また、パターンも多様化しており、おしゃれなファサードにすれば、建物のオリジナリティを演出できます。
屋根とファサードに関しては下記記事もご参照ください。 ⇒「ファサードには屋根の形状が大きく影響! 陸屋根、片流れ屋根等どれを選ぶ?」
屋根リフォームにおける葺き替えと重ね葺きの違いに関しては下記記事もご参照ください。 ⇒「屋根リフォームでファサードをおしゃれに! 葺き替えと重ね葺きの違いとは?」
窓とファサードに関しては下記記事もご参照ください。 ⇒「窓の数がファサードのイメージを変える! 窓がないファサードデザインもおしゃれ?」
ファサードの役割・メリット
ここでは、簡単にファサードの役割やメリットをご紹介します。ファサードは見た目も含めて数多くの役割を果たしており、建物の重要な構成要素として機能しています。
①見た目の印象を良くする ファサードは建物の第一印象を左右するものであり、「顔」とも言える部位です。美しいファサードは、住宅、店舗施設など、様々な分野で取り入れられています。特に住宅の場合、美しい外観は住み心地にも影響を与えます。
②個性を象徴する 外観のデザインは、建物のオリジナリティを表現する要素でもあります。好みのデザインを取り入れることで、個性を象徴するポイントになるでしょう。例えば高級感を演出するなら石張りにしたり、スタイリッシュにするならガラスを使用したりといったデザインもあります。
③集客力を高める 店舗施設では「入りやすそう」「興味を惹かれる」といった感情を引き起こさせることで、集客力のUPに繋がります。最近では美容室やカフェスペースを設けた店舗併用住宅が増えており、ファサードの重要性も高まっています。
ファサードに用いられる外壁の素材例
ここでは、建物のファサードに用いられる外壁材についてご紹介します。実際にファサードをデザインする際、素材選びのご参考にしてみてください。
●窯業系サイディング
窯業系サイディングは、セメントを主原料とした素材に繊維質等を混ぜ、それをタイル状に加工した外壁材です。現在、日本では最も多用されている外壁材で、石柄や木目柄、高級感あるタイルやレンガ柄といった豊富なデザインから選べるのが特徴です。また、色あせ・汚れにも強く、美しい外観を実現します。
●金属製サイディング
金属製サイディングは、金属で作られたパネル状の外壁材です。窯業系サイディングに次いで普及率が高く、金属の質感を活かしたシャープな印象の外観が演出できます。軽量で断熱性・耐久性に優れていることから、新築はもちろんリフォームにも最適です。
●コンクリート
コンクリートの外壁が持つ特徴は、モダンでスタイリッシュな雰囲気です。木造住宅に比べると耐久性に優れており、メンテナンスも比較的容易です。自然災害や気象の影響に強いため、長期にわたって美しい外観が保てるでしょう。
●モルタル
モルタルは、水・セメント・砂等を混ぜ合わせた素材を塗り付ける外壁材です。従来までは住宅の外壁材として広く普及していましたが、サイディングの登場以降はあまり用いられなくなってきました。風合いが良くデザイン性が高いのが特徴ですが、経年劣化によるひび割れや防水性の低下といったデメリットがあります。
●ガラス
ガラスの外壁は、自然光を取り入れることができるので開放感ある空間を演出します。美しい外観と多様なデザインオプションがあり、建物全体を現代的で洗練された雰囲気にできます。また、ガラスは耐久性が意外に高く、メンテナンスも定期的な清掃等で済むため、維持管理が比較的簡単です。
●タイル
タイルは、粘土等の原料を高温で焼き固めた外壁材です。見た目に高級感があり、豊かな風合いが特徴です。また、耐久性が非常に高いため、メンテナンスはほぼ不要です。ただし、初期費用が比較的高額となる点には注意が必要です。
●木材
木材の外壁材では木質系サイディングが主流です。日本の伝統的建築には木そのものが外壁に使われていましたが、現在は天然木を加工した製品を貼るのが一般的となっています。木の持つ温かみのある風合いは、建物の存在感を演出します。
●アルミルーバー
アルミルーバーは建物を美観や騒音軽減の目的で覆う目隠し材です。種類としてはアルミの素材を生かしたタイプの他、木目シートを貼り付けて意匠性を高めたものもあります。見た目がまるで本物の木のようになるため、高級感と温かみのある雰囲気に仕上がります。
●壁面緑化
壁面緑化というのは、建物の外壁を植物で覆うことです。緑に覆われた外観は安らぎ感があり、美しいランドマークとなります。また、空気の浄化や壁面の保護といったメリットも期待できるでしょう。初期費用やメンテナンスの手間は掛かりますが、リノベーション物件の再生を目的に採用されることも多々あります。
ファサードの素材選びについて詳しくは、下記記事をご覧ください。
⇒「家の外観をおしゃれに見せる! ポイントはファサードの素材選び」
ファサード計画のポイント
ファサード計画を進める際には、基本的なポイントを押さえることが求められます。デザイン・実用性の両方を兼ね備えたファサード計画を行いましょう。
①周辺環境との調和を意識する ファサードは建物単体で完結するのではなく、その外観が都市景観の形成に影響を与えるため、好みのデザインにするだけでなく「周囲と調和するかどうか」も考慮する必要があるでしょう。具体的には地域の景観条例を遵守するほか、奇抜な色を避けるといった配慮も求められます。
②採光・通風・照明も考慮する 最近のファサードは、従来の閉じたデザインではなく「外に繋がるデザイン」も意識したものになっています。例えばガラスと障子を使ったダブルスキンの外壁や、緑化を施したグリーンファサードなどがそれに当たります。ファサードこのように自然エネルギーの活用も取り入れたものが理想的です。また、夜間の照明に効果的な演出を加えれば、表情が昼間と変わるので、さらに魅力的なファサードをつくことができるでしょう。
③メンテナンス性を高めておく おしゃれなデザインにすることは重要ですが、見た目にこだわりすぎると後々掃除や修理に支障をきたす場合があります。そのため、メンテナンス性も考慮した計画がおすすめです。例えば高耐候塗装が施されている外壁材や、シーリング目地が無いタイプは劣化も少なくなります。
おしゃれなファサード事例
●モノトーンで張り分けたファサード
住宅密集地域に建つ3階建て住宅で、外壁をモノトーンで左右に張り分けました。黒い台形のボリュームが目を引き、街並みの中でひと際目立つ存在感をつくり出しています。
●異素材の組み合わせが新鮮なファサード
こちらの事例は金属製サイディングを採用したケースです。細いラインが縦に連なることで、シャープな印象となっています。流行のブラックと木目の組み合わせにより、トレンドのデザインを上手に取り入れているのが特徴です。ボックス型が多用された構造を生かし、センス良く馴染みやすい雰囲気に仕上がっています。
●レンガ調とタイル柄で洋風なファサード
モダンなブルックリンスタイルをモチーフとした分譲住宅のファサードです。窯業系サイディングの豊富なデザインの中から、レンガ柄をメインに、石柄やタイル柄を組み合わせ、洋風のおしゃれさを醸し出しています。
ファサードを彩る外観演出については下記記事もご参照ください。 ⇒「ホテルライクなエクステリア! 玄関アプローチから外観演出」
まとめ
おしゃれなファサードにすれば、建物の魅力がさらに引き立ちます。最近の主流になっているサイディング素材は、質感やデザインが豊富なのでおすすめです。好みの素材を選んで、素敵なファサードを計画しましょう。
家の外観をおしゃれに魅せるアイデアをまとめた連載記事「カベのアイデア事典」もぜひチェックしてみてください。
⇒「【連載】家の外観・ファサードをおしゃれなヨーロピアンスタイルに!|カベのアイデア事典 第1回」