
2025.12.16
一尺は何センチ? 一間、一寸、一分、一厘の長さなど家づくりでも使用する尺貫法の単位を知ろう
日本の家づくりが今でも「尺(しゃく)」という昔の単位に基づいていることをご存じでしょうか。広さを表す「畳(じょう)」という単位は見慣れている方も多いかもしれませんが、長さについても昔ながらの伝統的な取り決めが大切にされています。
「尺」と「畳」は、いずれも尺貫法の単位です。現代で長さといえば「cm(センチメートル)」などが使われますが、このような、長さ・体積・重さの基準のことを「度量衡(どりょうこう)」といいます。
家づくりの際には、この尺貫法を理解していると空間構成をイメージしやすくなります。今回は、そんな尺貫法の基本を解説します。
注文住宅を建てるまでの流れに関する詳細は、下記記事をご覧ください。
⇒「家を建てるまでの流れが知りたい! 年収や頭金はどれぐらい必要? 注文住宅の基礎知識」
新築時におけるコンセントの計画については、下記記事をご覧ください。
⇒「コンセントの位置を徹底確認! 注文住宅を建てる前に知りたい あると便利な屋外コンセントも」
尺貫法とは

尺貫法は、日本で古くから使われている度量衡の単位系です。長さの単位「尺」と重さの単位「貫」にちなんで「尺貫法」と呼ばれています。
広げた親指と人差し指の間の距離は約15cmであり、その2倍が「一尺(=約30.3cm)」です。また、一文銭1000枚の重さが「一貫(=3750g)」に相当します。昔は一文銭の中央に空いた正方形の穴に紐を通していたことから、「貫(つらぬ)く」という漢字が使われていたようです。このように、尺貫法は身近なモノの長さや重さなどを基にしているのが特徴です。
一方、現代社会では「メートル法」が広く使われています。メートル法は明治時代から日本に導入された単位系です。長さの「m(メートル)」、重さの「g(グラム)」といった単位が定められています。
●尺貫法で定められた長さや広さの単位を知ろう
ここでは、尺貫法に基づいた長さ・広さの単位をご紹介します。
| 【長さ】 | ||
| ・里(り) | :約3.93km。 | 1里=36町 |
| ・町(ちょう) | :約109.1m。 | 1町=60間 |
| ・間(けん) | :約1.82m。 | 1間=6尺で、畳の長辺の長さ |
| ・尺(しゃく) | :約30.3cm。 | 1尺=10寸 |
| ・寸(すん) | :約3.03cm。 | 1寸=10分 |
| ・分(ぶ) | :約3.03mm。 | 1寸の1/10 |
 
| 【広さ】 | ||
| ・町(ちょう) | :約9917.4m²。 | 1町=10反 |
| ・反(たん) | :約991.7m²。 | 1反=10畝で、米1石がとれる田んぼの広さ |
| ・畝(せ) | :約99.2m²。 | 1畝=30坪 |
| ・坪(つぼ) | :約3.31m²。 | 1坪=2畳で、1辺が6尺の正方形の広さ |
| ・畳(じょう) | :約1.62m²。 | 畳1枚の広さ |
家づくりにおける尺モジュールとメーターモジュール

日本の家づくりでは「3尺(半間)」を基準寸法とする「尺モジュール」が古くから使われ、現在も多く用いられています。一方、「1m」を基準寸法とする「メーターモジュール」も採用が進んでおり、モジュールを適切に選択することで自分好みの空間が実現しやすくなっています。
尺モジュールとメーターモジュールのメリット・デメリットについて解説しますので、ぜひ家づくりにお役立てください。
●尺モジュールの家が持つ特徴・メリット・デメリット
外装や建具などの建材が現在も尺貫法に基づいて設計されているため、多くの家づくりで採用されているのが尺モジュールです。図面は主に「mm」で表記されるので、尺モジュールということを認識しにくいかもしれませんが、部屋や通路、建具などの寸法は3尺(約910mm)を基準寸法としています。
尺モジュールの基本となる3尺という長さは、畳の大きさに由来しています。畳の大きさは「約3尺×6尺」であり、畳の幅に合わせて壁材や建具を設計することで、合理的かつ美しくレイアウトすることができるのです。しかし、畳の大きさは地域によって異なります。
| 【代表的な畳のサイズ】 | |
| ・江戸間(関東) | :88cm×176cm |
| ・京間(関西) | :95.5cm×191cm |
 
このような違いがあることから、畳を並べてつくる和室の場合は同じ「6畳」の部屋でも関東より関西のほうが広くなります。幅や面積を正確に知りたい場合は、メートル法で確認するようにしましょう。
尺モジュールのメリットは、家の寸法に合う建材や家具が多いことです。日本のメーカーによる建具などの製品は尺貫法に基づいており、尺貫法の家に合う豊富なラインアップから自分好みのアイテムを選ぶことができます。
一方、尺貫法の家は昔の身体尺に基づいているため、近代化にともない、人々の体格が大きくなっていることから、尺モジュールでは部屋や通路が狭いと感じてしまう方がいるかもしれません。
●メーターモジュールの家が持つ特徴・メリット・デメリット
メーターモジュールは「1m(1000mm)」を基準としているため、「3尺(約910mm)」を基準としている尺モジュールよりも部屋や通路がひと回り広くなります。ゆとりを持って暮らしたいという方にはおすすめのモジュールといえます。
ただし、メーターモジュールの規格で製造される建材や設備は少ないため、コーディネートの幅が狭まったりコストが割高になったりするデメリットがあります。メーターモジュールを採用する場合は、事前に建具や設備をチェックしておき、より具体的な完成イメージをつくっておきましょう。
今でも続く尺貫法

家づくり以外でも尺貫法を使い続けている業界や生産物は実をいうと少なくありません。これらを知っておくと尺貫法をより身近に感じられるかもしれませんね。
| ・不動産(土地・部屋の広さ) | :坪(つぼ)、畳(じょう) |
| ・農業(農地の広さ) | :反(たん) |
| ・和裁・呉服(着物の寸法や身長) | :尺(しゃく)、寸(すん) |
| ・真珠・宝飾(真珠の重さ) | :匁(もんめ) |
伝統工芸(陶芸・木工・金工)などでも尺貫法が使われている。
特に「匁(もんめ)」は、真珠の重さを表す世界共通の単位(momme、mom)となっています。日本が非常に難しかった真珠の養殖を初めて成功させたため、その技術や歴史が高く評価されている証ともいえるでしょう。
また、江戸時代に制度化され、主要街道に築かれた旅程の目印となる里程標の「1里塚」は今も全国各地に残っています。
おわりに
日常生活で使う機会は多くないかもしれませんが、家づくりにおいて尺貫法は今でも重要な単位系です。外装材のひとつである窯業(ようぎょう)系サイディングの寸法も尺貫法に基づき、ニチハの製品はシリーズごとに以下の寸法を採用しています。
| ・COOL、Fu-ge60、Fu-ge(プレミアムシリーズ含む) | :1.5尺(455mm)×6尺(1820mm) |
| ・モエンサイディング-M・モエンサイディングWの一部商品 | :3尺(910mm)×10尺(3030mm) |
| ・上記以外の窯業系サイディング | :1.5尺(455mm)×10尺(3030mm) |
 
この記事を参考にしながら尺貫法に基づく長さや広さを理解し、自分好みの家づくりを実現しましょう。








