2025.05.12
屋根の種類はいくつある? 家を建てるに当たって知っておきたい屋根の形状や素材を紹介!
屋根はその形状や素材によって多くのバリエーションがあります。本記事では屋根の種類を一覧でご紹介するとともに、最適な屋根を選ぶ際のポイントについて解説いたします。それぞれの屋根が持つ特徴や見分け方を理解することで、ご自宅の外観をより一層素敵に演出することができるでしょう。
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屋根の種類が知りたい!|一覧をチェック
家づくりにおいて、「屋根」は単に雨風をしのぐだけでなく、断熱性や耐久性といった住まいの性能、さらには見た目の印象を大きく左右する重要な部分です。屋根の材料や形状によっては、住まいの快適性やメンテナンス性も変わるため、慎重な選択が求められます。
今回は家を建てる前に知っておきたい屋根の種類や素材についてわかりやすく紹介していきます。
屋根の種類を選ぶ際のポイント

ここではまず、屋根の種類を選ぶ際のポイントを解説します。計画時から維持管理の段階までを考慮して失敗を防ぎましょう。
●メンテナンスを考慮する
屋根は風雨や紫外線にさらされ続けるため、定期的な点検や補修が必要です。ただし、素材によって耐久年数やメンテナンス頻度が異なるため、ライフサイクルコストも見据えて選ぶことが求められます。
●外壁に合わせてコーディネートする
屋根の色や素材は、外壁との相性によって住まい全体の印象を大きく左右する重要な要素です。もし、色味や質感が調和しない場合、住まいの印象を損なう可能性があります。
したがって、屋根を含めた外観の統一感を持たせることで、洗練された美しい住まいに仕上げるのがポイントです。周辺とのバランスや地域の景観ガイドラインにも配慮しつつ、好みに合った組み合わせを選ぶと満足度も高まります。
●太陽光発電の有無を計画しておく
近年は環境意識や光熱費削減の観点から、太陽光発電を導入する家庭が増えています。そのため、屋根の形状や勾配、方角は発電効率に直結する大切な要素となります。
もし、導入を検討している場合は、太陽光パネルを設置しやすいシンプルな形状で、南向きの屋根が発電効率の点で有利です。また、屋根材の強度や耐久性も関係するため、建築段階でしっかりと計画しておくことが成功のカギです。
屋根形状の種類①左右対象
ここでは形状が「左右対称」の屋根について解説します。
●寄棟(よせむね)屋根
四方向すべてに傾斜がある屋根で、最上部の「棟」からそれぞれの辺に向かって斜めに下がっているのが特徴です。四方向に屋根があるため、どの方角からの風雨にも強く、耐久性に優れています。
日本の住宅によく見られる屋根で、見た目の印象も落ち着いています。屋根裏空間は狭くなりがちですが、外観のバランスが取りやすいため、和洋問わず幅広い住宅に採用されています。
●陸屋根(りく・ろくやね)
傾斜のないほぼ水平な形状が特徴の屋根です。ビルやマンションに多く使われているスタイルですが、モダンなデザイン住宅にも採用されています。屋上スペースとして活用することもでき、都市部の限られた敷地では有効です。一方で、雨水の排水性には注意が必要であり、定期的な防水処理や勾配排水への配慮が求められます。
●方形(ほうぎょう)屋根

正方形(正四角形)の建物に用いられる屋根で、中央の一点から四方に均等な勾配で傾斜しています。ピラミッドのように左右対称でバランスの取れた美しい見た目と形状が特徴です。
ただし、屋根の構造が複雑になりやすいことから、施工コストもやや高めになる場合があります。また、屋根の結合部は雨漏りが発生しやすいので適切な対応が必要です。
●切妻(きりづま)屋根
本を開いて伏せたような形状の屋根で、三角形の妻側と二面の傾斜屋根で構成されます。屋根裏の換気がしやすく構造もシンプルで施工性が高いため、コストを抑えたい場合にも適しています。日本の伝統的な民家にも多く見られ、洋風建築にもなじみやすい万能型のデザインです。
●半切妻(はんきりづま)屋根
切妻屋根の妻側の一部を斜めにカットしたような形状で、「はかま腰屋根」や「ドイツ破風」とも呼ばれます。道路に面した住宅で、道路斜線制限の制約がある場合に採用されることがあります。
外観に個性を出したい場合にもおすすめで、シンプルながら印象的なデザインになります。
●越(こし)屋根

切妻屋根の上に小さな屋根を重ねたような構造で、その形状には換気や採光を目的とした昔ながらの知恵が詰まっています。この屋根はとりわけ古民家や町家などに多く、熱のこもりやすい屋根裏の換気に優れています。
外観も趣があって和風建築のアクセントにもなります。現代の住宅に取り入れる際は、デザイン性と機能性のバランスを意識すると良いでしょう。
●腰折れ屋根

途中で角度が変わる折れ曲がった形状の屋根で、勾配が上下で異なっているのが特徴です。勾配が急になると雨や雪が落ちやすく、また、屋根裏空間を広く使えるメリットもあります。独特なシルエットでデザイン性も高く、欧風の住宅や輸入住宅に多く見られます。ただし、構造が複雑なので施工には技術とコストがかかる点に注意が必要です。
●入母屋(いりもや)屋根
切妻屋根の上部に寄棟屋根を組み合わせたような構造で、神社仏閣や伝統的な日本建築によく見られる格式ある形状の屋根です。和風住宅に重厚感や風格を加えたい場合などはおすすめです。
通気性や雨仕舞いに優れており、重厚感があって外観に威厳を与える一方、その複雑な構造ゆえに一般的な屋根形状と比較して施工費用は高くなる傾向にあります。
屋根形状の種類②左右非対象
ここでは「左右非対称」の屋根形状の種類について解説します。
●片流れ(かたながれ)屋根
一方向にだけ傾斜があるシンプルな形状の屋根です。構造が単純で施工コストが抑えられ、モダンデザインにも適しています。また、太陽光パネルの設置に適しており、自然光を効率的に取り込む事が出来るという利点もあります。ただし、風の影響を受けやすい点や、排水の負荷が一つの雨どいにかかる点には注意が必要です。
●招き(まねき)屋根
片流れ屋根と切妻屋根の中間のような形状で、長さの異なる二面の屋根を組み合わせた屋根です。左右非対称なデザインが特徴的で、外観に個性が出せます。さらには屋根裏空間を有効活用しやすく、室内の高さに変化をつけることも可能です。採光や風通しを工夫することで快適な空間づくりができます。
●差し掛け(さしかけ)屋根
1階部が2階部より広い家の場合、2階部の外壁に接して設けられた片流れ屋根の部分を「差し掛け屋根」と呼びます。異なる高さの屋根を部分的に重ねるように設けた形状で、もともとは増築時などに多く見られました。
2階の採光や換気を取り入れやすいのが魅力です。現代では意匠的なアクセントとしても使われます。
●鋸(のこぎり)屋根

ギザギザした形が特徴の屋根で、主に工場や作業場などで採用されています。垂直面に窓を設けて自然光を効率よく取り込めますが、一般的な住宅ではあまり見られません。
●バタフライ型屋根
中央が谷状になった屋根で、蝶が羽を広げたような独特な外観が特徴です。屋根の中央に雨水が集まる構造で、雨水タンクと組み合わせることで雨水を有効活用することも可能です。モダンなデザインの住宅に映えますが、排水計画や雨漏り対策は慎重に行う必要があります。
屋根素材の種類①スレート系
ここでは屋根に使われる素材の種類として「スレート系」について紹介します。
●化粧スレート
セメントに繊維素材を混ぜて成形し、塗装を施した薄い屋根材です。軽量で施工しやすくコストパフォーマンスにも優れています。デザインやカラーが豊富で多くの住宅に採用されていますが、10〜15年程度で塗装のメンテナンスが必要となります。
●天然スレート
天然の粘板岩を薄く割って加工した屋根材で、自然な風合いと重厚感が魅力です。ヨーロッパの伝統的な建物に多く見られる高級感のある素材です。耐久性が高く、天然素材であるため環境にやさしいのがメリットです。価格が高価で重量もあるので施工には専門の技術が必要です。
屋根素材の種類②金属系
ここでは屋根の素材の種類として「金属系」について紹介します。
●アルミ亜鉛合金めっき鋼板
アルミと亜鉛の合金めっきを施した薄い鋼板で、軽量かつ耐久性・耐食性に優れ、現代の住宅で人気があります。デザインも豊富でスタイリッシュな外観を演出できます。ただし、断熱性はやや劣るので断熱材との併用が推奨されます。
●トタン
亜鉛めっきを施した鉄板で、かつては一般住宅の屋根材として広く使用されていました。特徴は安価で軽量な点ですが、サビやすく耐久性が劣るため、定期的な塗装などのメンテナンスが欠かせません。現在では住宅に使われることが少なくなり、一部の簡易建物や倉庫などでの使用が多くなっています。
●石付き鋼板
金属の表面に天然の石粒を吹き付けて加工した屋根材で、重厚感ある見た目と金属特有の軽さを両立しているのが魅力です。耐久性も高く、近年では輸入住宅や、こだわりの注文住宅などで注目されています。
屋根素材の種類③瓦系

ここでは「瓦系」の種類を紹介します。
●セメント瓦
セメントと砂を主原料とした屋根材で、型に流し込んで成形し、表面に塗装を施して仕上げます。デザインが豊富で和風から洋風まで対応でき、重厚感があるのが特徴です。ただし、定期的な塗装などのメンテナンスが必要で、経年劣化による色あせやひび割れが発生することもあります。
●粘土瓦
天然の粘土を焼き固めた瓦で、耐久性・耐候性・断熱性に優れており、日本の伝統的な屋根材として古くから使われています。特に粘土瓦の一種である陶器瓦は、表面を釉薬で仕上げており、色あせにくく長寿命です。重量があるので耐震性に注意が必要ですが、メンテナンスの頻度は少なく済みます。
屋根素材の種類④その他
ここでは「その他」の屋根の素材種類を紹介します。
●アスファルトシングル
ガラス繊維にアスファルトを浸透させ、表面に石粒を付着させた屋根材で、アメリカなど海外では広く使われています。和・洋・モダンのどのスタイルにも調和するデザインで、軽量かつ柔軟性があって複雑な屋根形状にも対応しやすいのが特徴です。
まとめ
屋根は住宅の印象や快適性、耐久性を大きく左右する重要な要素です。形状や素材には多くの種類があり、それぞれに特徴やメリット・デメリットがあります。そのため、デザイン性だけでなく、メンテナンス性や太陽光発電設備導入なども考慮して選ぶことが、後悔しない家づくりにつながります。暮らし方や地域の気候に合った最適な屋根を選びましょう。