建物の内部と外部をつなぐ立体路地に暖かみのある木目調の軒天材を採用
ニチハ
今回、商業施設「TAKEYA1」に弊社の軒天材をご採用いただきました。まずは施設計画のポイントからお聞かせください。
越田
TAKEYA1のある上野・御徒町は下町の風情が残る地域で、昔ながらの賑やかな商業空間が多くみられます。 この場所で創業77年を迎える多慶屋(たけや)は路地に点在した店舗間の買い廻りがある活気のある商店で、 店舗が全面紫色の外壁だったことからインバウンド客には“Purple Building”と呼ばれて親しまれていました。 計画敷地の西側にはさまざまな商店が集積する地域がひろがります。一方で、東側は商住共存地区につながり、 公園や学校の緑地が面しています。他では見られない、個性的な商業空間であったと思います。
ニチハ
特徴的な場所なのですね。建て替えの際に意識されたことはありますか。

折り紙や扇子を想起させる印象的なアルミパネル。
越田
今、多くの人が日常的にオンラインで買い物をしています。実店舗にお客様を誘引するには、 その場所にしかない何かを体感できる空間を創る必要があると思いました。 多慶屋のもっている個性や魅力を受け継ぎ、生かし、江戸・東京下町の歴史やまちなみに配慮することで、 現代に相応しい固有の魅力的な施設になるようにと考えました。
ニチハ
一度見たら忘れないような、非常に印象的なデザインだと感じました。外観に関して、軒天材の選定理由も含めてお聞かせください。
越田
計画敷地は四周を狭い路地に囲まれています。道路斜線制限によりセットバックして生まれた空間を、上階への回遊性を促す立体路地として計画しました。 狭い路地からは外観を高い仰角で見上げることになるため、立体路地部分の軒天がとても目立ちます。特に夜間は店舗内からの光に照らされて、 凹凸感が表情をつくります。立体路地は、外部と内部の中間領域としての性格をもつ空間です。お客様が訪れたくなる場所にするために、 暖かみのある素材にしようと思い「軒天12 木目調」を採用しました。照明の色温度を低く設定し、軒天の暖色がキレイに見えるようにしています。 対して、外壁面は紫色がキレイに見えるように白色の色温度照明にして、コントラストをつくっています。
ニチハ
見せ方にもこだわられているのですね。軒天材の性能面に関してはいかがでしょうか。

休憩、イートイン、催事スペースとしても活用される立体路地。
越田
立体路地は避難階段に連絡する空間でもあり、道路に面します。災害時には一次的な避難場所としても機能するでしょう。 不燃材料認定を取得している「軒天12」は本計画に安心な材料だと思いました。