18mmサイディングで本物らしさを演出 現場では工期短縮が大きなメリットに
ニチハ
京都の宇治市にある結婚式場「迎賓館シェーナ PARTIR KYOTO」を手がけれたということで、設計の経緯をお聞かせください。
田井
こちらの結婚式場は、クライアント様からヨーロッパの古城のようなイメージでと、依頼があった物件です。
ニチハ
なるほど。ヨーロッパ建築の写真などを見ながら設計を進められたのでしょうか。
田井
お城や教会の写真をたくさん見ました。最初はレンガかレンガ状のタイルで考えていたのですが、メンテナンスのしやすさや費用などさまざまな面で検討した結果、サイディングを使うことに決めました。
ニチハ
厚さ18mmのものを採用されましたが、その理由は何でしょうか。
こちらの外観パース図に沿って作り上げられ、存在感のある仕上がりに。
田井
パース図に一番近いというのが決め手です。図面上では16mmで考えていたのですが、厚みによってより深堀りのデザインになり、本物らしさを出すことができるので18mmに決定しました。
ニチハ
プラスター・モエン外壁耐火構造を採用いただきましたが、現場での気づきなどはありましたか。
田井
強化石膏ボードとサイディングがどちらも6尺なので、下地のボードの端材が少なく、工期を短縮できたことが大きなメリットだと感じました。工期に余裕がない中での施工だったので、採用してよかったと思っています。
異素材との組み合わせで可能性は無限大に
ニチハ
設計や工事で苦労なさった点はありましたか。
ステンドグラスがはめ込まれた壁面は、EPSとサイディングの絶妙なバランスがポイント。
田井
外観の白い部分はEPS(発泡スチロールにウレタン樹脂をコーティングしたもの)で、サイディングを張った上から下地を取付け接着剤で貼っています。
サイディングとの取り合いを考えるのが一番難しかったです。
田井
そうなんです。EPSを大量に使ったのですごく時間がかかりました。サイディングとEPSの割合が少し違うだけで印象が大きく変わってしまうので、2つの割合をギリギリまで検討しました。
ステンドグラスの色味との合わせ方も難しかったです。最終的にはいい割合に調整することができ、パース図のような外観にすることができました。
ニチハ
素敵な外観ですよね。「会心の出来」だと思う点についてもお聞かせください。
ステンドグラスの光の反射は、息をのむ美しさ。
田井
やはり正面です。扉を開けて中に入ると、ステンドグラスの光が床に反射して海外のチャペルのようで、皆さん感動されるんです。外観と内観が調和していて美しいと言われたのがすごく嬉しかったです。
ニチハ
御社の設計意匠と弊社のサイディング意匠の融和についてもご意見をいただけますか。
田井
「サイディングは何かと組み合わせることで、可能性が無限大になる」と感じました。今回、EPSと組み合わせてみて新たな表現ができましたし、サイディングっぽさもなくせたのではないかと思います。
結婚式場を設計することでお客様の大切な日のお手伝いができる
ニチハ
コロナ禍によって結婚式場のあり方も変わったのでしょうか。
田井
安心して結婚式を挙げられるように、換気のいいガーデンウエディングがトレンドになっていました。最近では、少しずつウィズコロナになってきたことと、フォト婚の方が増えてきたということもあり、
写真がメインの式にできるよう、ドライフラワーを使った「写真映え」する結婚式場の需要が高いようです。
ニチハ
世の中の状況によって結婚式場も変化しているのですね。設計における思いをお聞かせいただけますでしょうか。
田井
私たちの仕事は、クライアント様にとって最高のものを作り出すことだなと改めて思いますね。クライアント様の向こうにいらっしゃるお客様にとって一生に一度の大切な日なので、それを最高に一日にするお手伝いができているというのがすごく嬉しいです。
Fu-geの採用により「今までにない仕上がりを実現」
ニチハ
今回、外壁材Fu-ge(フュージェ)を採用いただきました。仕上がりについてはどのように感じていらっしゃいますか。
田井
大変満足しています。思っていた通りのものができましたし、クライアント様にも「今までにない感じだね」とお褒めの言葉をいただき、嬉しかったです。
ニチハ
目地の目立たなさについても評価いただけていると伺いました。
夜はライトアップされ、より幻想的な雰囲気に。
田井
私はもちろん、クライアント様も目地を気にされていたのですが、四方合いじゃくりだったので本当に綺麗で納得の仕上がりでした。Fu-geはオフセットサイディングで環境に優しいので、SDGsを推進する弊社としても今後積極的に採用していきたいと思っています。
ニチハ
最後に、弊社のサイディングについてのご意見やご要望がありましたらお聞かせください。
田井
まずは、色や柄のバリエーションが増えると嬉しいです。あとは、四方合いじゃくりで本物のような縦の木目の商品ができないかと期待しています。クライアント様から、木目柄のご要望も多いので。
ニチハ
木目柄はまさに、私どもでも検討しているところでした。やはり需要があるのですね。
田井
木造物件に関していうと、木造耐火は強化石膏ボードが外と中に2枚ずつ必要で、すごく工数がかかるので、それを簡素化できるサイディングがあればなと思います。
ニチハ
木造耐火の簡素化は、対応しているサイディングメーカーがないのが現状ですよね。今後の課題にしていきたいと思います。貴重なご意見をいただき、ありがとうございました。